マレリー・イタリア本社の先代(第五代)社長ジョルジョ・マレリーは、テレビのフォルムラ・ウーノ(F1レース)中継を見るたびに23年ほど前のある出来事を思い出すのです。
当時のマレリーはヨーロッパで代理店制度を採っていました。エミーリア-ロマ−ニャ州の代理店をしていたモデナ市のイルデブラント・ソーラ氏からジョルジョにある特別注文がとどきました。何気なく注文主の名前を見ると「エンツォ・フェラーリ」とあります。車好きのイタリア人の中でも無類の車好きで知られているジョルジョが、この名前を見て驚かなかったわけがありません。車好きでなくてもその名を知らないイタリア人はいない、フェラーリの創設者です。
ジョルジョがその特別注文に全力を傾けたことは想像に難くありません。2足の黒のオックスフォードタイプの特注には通常4週間かかるところを2週間で仕上げました。進行状況を毎日自分で確認し、完璧な靴を仕上げさせました。その2足を社長室の机の上の載せ、次のような手紙を書きました。
「親愛なるフェラーリ氏 マレリーにあなたの靴を作らせていただいたことは光栄であり、感謝いたします。あなたが、全世界にフェラーリの名前とイタリアの国をここまで有名にしてくれたことに敬意を表すると共に、拍手を持って称えます。この2足はマレリーからのその感謝の印として無償でお受け取り下さい。もし、このお知り合いの記念として貴社の製品を一ついただければ幸甚です。 ジョルジョ・マレリー」
つまり、「靴を2足あげる代わりにフェラーリをくれ」と言うジョークの手紙をつけたのです。この返事を楽しみに待っていたジョルジョは15日後にフェラーリのパイロットケース、ネクタイとポスターの入った小包と以下の手紙を見つけました。
「親愛なるマレリー氏 素晴らしい完成度の靴と、私への賞賛の言葉に感謝します。しかし残念ながらあなたの希望されている商品は在庫にありません。その代わりの品をいくつかお送りしましたのでお受け取り下さい。これはフェラーリファンであるあなたにきっと喜んでいただけると確信しております。 コンメンダトーレ(勲三等叙勲者) エンツォ・フェラーリ」
ジョルジョのジョークにエンツォは「在庫にない」と洒落て返したのです。マエストロと呼び職人的技術を尊ぶイタリアで、お互い靴と車を極めた両マエストロならではのエピソードではないでしょうか。
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posted by フェラーリ □ at 21:16|
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